従業員の発言が起因する炎上の企業責任[事例から考える3つの着眼点]


先日、ヤフー社員が「Yahoo!個人」の記事投稿者に対して、ヤフーに所属している旨を表明している状態でFacebookコメントから個人的なコメント(意見)を行ったケースがありました。


ソーシャルは難しい。わたしはこれでYahoo!個人に投稿するのをやめることにしました

社員が所属企業を明かした状態で個人的なコメント(意見)を行うことにより、企業責任は問われないのでしょうか。
今回は、このヤフー社員の一件から、3つの着眼点を展開していきます。

着眼点1:事例を分析する

分析

社会的視点から見た場合、ヤフー社員がした行動はどのような行動だったのか

今回のヤフー社員は、行った行為に対しては「ヤフー社員」としての配慮が欠如していたでしょう。
また、今回の発言は、「ヤフー社員」としてではなく「一個人」としての意見であれば何ら問題にはならない発言でした。
あらかじめステークホルダー[*1]に対する行為として適切な発言かどうかを考えるべきだったと考えられます。

[*1]ステークホルダー…企業の活動によって影響を受ける人々や団体などの利害関係者。今回の場合は「取引先」を指す。

企業視点から見た場合、ヤフー社員がした行動はどのような行動だったのか

ステークホルダーに対して行うべき対応ではなかったでしょう。
一個人の行為であることは紛れもない事実だが、ヤフー従業員という立場を考えていない発言です。
個人としての落ち度はないかもしれないが、少なからずヤフーへの不信感を生む行為であり、さらにヤフー自体のブランドを失墜させる行為です。

着眼点2:ヤフー社員の行動に企業責任はあるのか

企業責任
ヤフー自体の企業としての責任はないと考えます。
個人の価値観や人格は尊重すべきであり、企業側の都合通りにすることは出来ないでしょう。
また、企業側の立場からすると、一社員の暴走を止めることは出来ない事は紛れもない事実です。

常日頃の教育と啓蒙活動に取り組む責任はあるにせよ、今回の一個人の行動に対してヤフーとしての企業責任はないでしょう。

着眼点3:匿名ではなく、FACEBOOKで「所属企業」を明かした状態で、個人的な発言を行った場合に社会的責任は発生しないのか

FACEBOOK
実名であるという事は、そもそも客観性に欠けます。
なぜならば、ヤフーを貶めるために第三者がなりすましを行った可能性も十分に考えられ、そもそもヤフー従業員でない可能性も捨てきれません。

その前提条件を除いて、「ヤフー社員であることが事実である」と仮定した場合、
個人の責任としては、企業人としての責任範囲の中で責任を負うべきでしょう。
また、企業側の責任としては、問題行動をとった従業員に対して、
社内的に罰則を検討する程度の問題でしょう。
度合いはさておき、今回のケースはあくまで「個人の主義主張」をしただけに過ぎません。
従って、社内的な責任は負う可能性はあるにせよ、
既にヤフーのブランドを棄損されているという時点で、
社会的な責任を負っているのと同等であると考えられます。

よって、その後のブランド回復を図るか否かは、ヤフー自身の考え方次第となります。

さいごに
社員の言動により、企業責任が問われるケースとはどういうケースか


顧客情報などの漏洩、第三者の名誉を棄損する行為ではないでしょうか。
その他、いたずら・悪ふざけはモラル・企業倫理の問題です。

顧客情報の漏えいや、他人の名誉を棄損する行為は事件であり、
法廷で争われるような問題である。その点は、裁判所の判決を持って
判断されるものであり、何らかの責任を取る必要が発生します。

従って、企業責任を取るべき状況とは、法令違反を犯したケースが該当するのではないかと考えられます。

それとはまた別に、企業の義務として、日頃からその他のモラルに反する行為が発生しないための社員教育を行う事と、社員の問題行動が起こらない社内の仕組みを構築することが大切になってくるでしょう。

<完>

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