ネクストリンクの業界最前線<第3回>/忘れられる権利と情報の必要性


誹謗中傷対策センター(ネクストリンク株式会社)の目線から、
「業界の情報」をお伝え致します。(不定期更新)


忘れられる権利

先日、ヨーロッパ連合(EU)で認められた『忘れられる権利』。

2014年5月、EU司法裁判所はGoogleに対して、記事で取り上げている人物が情報の削除依頼を求めた場合、検索エンジンから記事へのリンクを削除するように命じました。
「忘れられる権利」で、権力者に不利な記事が削除される

現在Googleは判決を受け、EU域内を対象に削除申請のページを開設しました。

忘れられる権利と情報の必要性について考察します。

◆ネクストリンクの業界最前線<第3回>◆
忘れられる権利と情報の必要性

(文・ネクストリンク株式会社 代表取締役社長 大和田 渉)

この議題は法律の話になります。

忘れられる権利とは、近年ヨーロッパで認められたプライバシー保護のあり方に関する新しい権利です。
なお、日本ではまだ認定されていない権利です。

「忘れられる権利」と「知る権利」は対極にある権利です。
さらに、この2つの権利の性質は矛盾しています。

「忘れられる権利」と「知る権利」
ヨーロッパでは、「犯罪者の罪は正しい方法で罰せられ、その罪を償った後は、
ある一定期間が過ぎると『忘れられる権利』が適応される。」という考えから、
『忘れられる権利』は有効であると判決が下り、Googleは判決の対応を実行する事になりました。

しかし反対に、世間の人びとは事実を「知る権利」があります。

人が犯罪を犯した場合、その犯罪はニュース報道されます。
犯罪者は、罪を犯し事件を起こした事実があるため、世間の人びとはその事実を知る権利を持ちます。

知る権利と忘れられる権利はただでさえ難しい問題ですが、
さらにそこへインターネットが絡んでくることにより、もっと問題がややこしくなります。

犯罪事件の情報はもともと、図書館などの公的機関へ足を運べば閲覧できる情報です。
しかし今は、インターネットで簡単に調べられてしまう。それが一番の問題となっています。

世間の人びとは事実を「知る権利」がある
今の日本は、犯罪事件の情報が簡単にまとめサイトやさまざまなブログサイトに拡散され、
インターネット上に情報が残ってしまいます。

「忘れられる権利」のポイントは、何らかの犯罪を犯し、服役後出所し、
正常な社会生活を送っている人に対して、その事実を永久に知らせることが必要であるのか
の点です。

犯罪者の烙印を永久に押されて、社会生活に影響を与えられる事は
基本的人権を侵害しているという見方もあるのかもしれません。

しかしその反面、以下の3つの心情が入ってきます。

1.ルール上許されたとしても、人としては許せない
2.一度やった人はまたやる(再犯)
3.そういう人は信用できない

結論として、「忘れられる権利」に関する問題は、いろんな性質の問題が入り混じった
非常に難しい問題であると言えます。

今後、日本ではどのように扱われる権利へと発展するのか、動向が気になるところです。

<完>

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