ブラック企業と現代 <前編>/独り歩きする言葉


先日、政府よりブラック企業の法令整備と取り締まり強化のニュースが発表されました。


政府「ブラック企業」取り締まり強化と労働規制緩和の環境整備を検討
ブラック企業撲滅に向け議論開始へ 政府

そこで、ブラック企業と長年向き合ってきた誹謗中傷対策センター(ネクストリンク株式会社)の目線から
ブラック企業の現代(いま)をお伝え致します。(全3回)

◆ブラック企業と現代 <前編>/独り歩きする言葉

(文・ネクストリンク株式会社 代表取締役社長 大和田 渉)

「ブラック企業」と言う言葉が頻繁に使われるようになったのは、2012年頃からです。

何だか気付いたら「ブラック企業」と言う言葉が独り歩きし始め、
様々な誤解を生むようになったと実感しています。

諸説ではありますが、ブラック企業のルーツは、
IT系企業、特にプログラマなどデスマ(デスマーチ)と呼ばれる残業・徹夜・休日出勤などが常態化している勤務状況などを主として「ブラック企業」と言われるようになりました。

その後、ベンチャーブームの到来で、夢と希望を持って始めたベンチャービジネスで、
創業メンバーが寝食を惜しんでプロジェクトに没頭し、
いつしかIT企業特有の体質かのように言われるようになっていきました。

また、スタートアップ時のメンバーと
事業のフェーズが変わった時のメンバーとのギャップがある事は
ありがちな話かもしれません。

ここで大きく変わっていることは

過去使われてきた「ブラック企業」と、

昨今の「ブラック企業」と言う言葉の意味合いが変遷を遂げています。

現在はどうでしょうか。

Wikipediaによると、
「ブラック企業(ブラックきぎょう)またはブラック会社(ブラックがいしゃ)とは、広義としては暴力団などの反社会的団体との繋がりを持つなど違法行為を常態化させた会社を指し、狭義には新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使い潰し、次々と離職に追い込む成長大企業を指す。」とあります。

しかし、過去のブラック企業とは、
大量の開発案件や短期間の納期により過密なスケジュールで労働している会社(ここでは一生懸命頑張っている会社と定義します)だったはずが、いつしか『違法&反社&一生懸命頑張っている会社=ブラック企業』と混同されてしまっている部分が見受けられます。

本来、ブラック企業という言葉は、
「一生懸命頑張っている会社」に対して使用される言葉であり、
「違法&反社」を表現する言葉ではありませんでした。

報道や各メディアの記事、その他ウェブ上などの情報を厳密に見ると
『「ブラック企業」と「違法&反社」と言うものは違いますよ』と書かれていたり、いなかったり・・・
でも、受け手(報道や各メディアの記事を読むユーザー)としては、
その事に対してそこまで深く受け止めてはくれません。

そういう意味では、メディアの力って怖いですね。

⇒続きを読む:ブラック企業と現代<中編>/言葉の定義と本質

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