ネクストリンクの業界最前線<第1回>/ワタミのブラック企業問題と企業ブランドのあり方(後編)


誹謗中傷対策センター(ネクストリンク株式会社)の目線から、
「業界の情報」をお伝え致します。(不定期更新)


ブラック企業という言葉が浸透している今の時代。
ブラック企業といえば「ワタミ」と言っても過言ではないぐらい、イメージが浸透しているように思います。
そんなブラック企業のイメージが強い「ワタミ」ですが、現在は労働環境の改善に取り組んでいます。
ブラック企業問題と直面するワタミ、労働環境改善に取り組む

「ワタミのブラック企業問題」から、企業ブランドのあり方を分析します。

←前回を振り返る:ネクストリンクの業界最前線<第1回>/ワタミのブラック企業問題と企業ブランドのあり方(前編)

◆ネクストリンクの業界最前線<第1回>◆
ワタミのブラック企業問題と企業ブランドのあり方(後編)

(文・ネクストリンク株式会社 代表取締役社長 大和田 渉)

私は、『ワタミのブラック企業問題』のポイントは3つあると考えています。

1.価値観が時代に合っていない
2.理念と運営方針が組織規模に適していない
3.職場環境が逆に企業の競争力を低下させる原因になっている

法令違反は問題外としても、ワタミの労働環境改善の取り組みに関する記事からは、
コーポレートブランディングの重大さを実感したのであろう事が垣間見えます。

「1.価値観が時代に合っていない」は、高度成長期と通ずるものがあるかもしれません。ワタミはすさまじい成長を遂げてきました。きっと成長段階の時は、当初の価値観で問題がなかったのでしょう。比較的大きな割合の人に対して、報酬と労働のバランスがきちんと取れてきたのかもしれません。

しかし、拡大路線から安定期に入り、当初のすさまじい成長を遂げてきた価値観のバランスが崩れ、結果的にアンバランスな労働環境になった(ならざる負えなかった)。つまり、「企業としては継続して勢いが良い状態を維持して成長させ続けたかった」故の結果ではないでしょうか。

「2.理念と運営方針が組織規模に適していない」というのも1番の中に答えを書いてしまっています。
途中の拡大路線の真っ最中までは、当初の価値観で問題ありませんでした。しかし、安定期に入ってからは、同じスピード感を維持する事に経営の仕方として無理がたたったとしか考えられません。

「3.職場環境が逆に企業の競争力を低下させる原因になっている」は、何よりも企業が一方的に人を選んでいるのではなく、労働者にも企業を選ぶ権利があります。これだけ情報が簡単に入手できる世の中で、あえてワタミで働こうと考える人は少数派になりますよね。

必然的にワタミが選ばれなくなれば、少数派の中から採用を選択する事になるわけですから
優秀な人材を確保したい企業側からしても、なかなか思うように事は進みません。

その結果、(もしかしたら)採用基準に満たさない人を採用し続け、
事業に対して人的な影響を与え続けていたのかもしれません。

ここで、何度も体験した面白い話ですが、
私は好き過ぎるあまりに通い続けていたとあるお店がありました。

どうやら私のことを常連認定してくださったそのお店ですが、
名前は『TGIフライデーズ』と言います。
個人的な情報で恐縮なのですが、『TGIフライデーズ』美味しくてよく食事させて頂いています。

『TGIフライデーズ』のスタッフの方は皆さん口を揃えて「フライデーズが好きで働き始めました」「もともとはフライデーズのお客だったんです」と言い、私は何度もその言葉を聞く機会がありました。

後に知ったのは、『TGIフライデーズ』はワタミが経営しているお店であると。。。
正直衝撃的でした。
同じ会社でも、ここまでスタッフの価値観が違うものなのかと。

あれだけ悪く報道され、ネット上でもあり得ない批判のされようにも関わらず、『TGIフライデーズ』では一切感じさせない。
そして、ワタミだった。

そう考えると、実は私が書かせて頂いた先ほどの3つのポイントも、本当は違うのではないかと考えてしまいます。
人事制度や、出店ブランドごとに環境が違うのかもしれません。

また、ワタミと比較すると、『TGIフライデーズ』は感覚値では1.5~2倍くらいの料金体系です。
その結果としてスタッフに対するインセンティブの厚みが違うのかもしれません。

それ以上に、「美味しいから」などの理由で特定ファン層が集まり、
一種のファンクラブのような要素があるのかもしれません。

私が書いている内容からは、ブランディングの重要性が大きなウェイトを占めているように感じがちですが、
もしかしたらそれはあくまで一部の要因にすぎず、本当にフォーカスすべきは違うところにあるのかもしれないと考えられる面白いケースです。

何せワタミが経営している居酒屋『和民』と、『TGIフライデーズ』でここまで違うのですから。

その件があったので、過去の過ちはあったのかもしれませんが、
ワタミは企業の業績と労働者へのやりがいをバランスできる企業になれるのではないかと感じたニュースでした。

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